<前提> 以下の対談は、「雑談笑」という石田てるやさんという大学生と、遭遇設計が共同開発したゲームの起点、背景や結果、想いについて話しています。広瀬さんのボドゲづくりのスタートは「ウツ会議」という会社やチームでウツを発症した人に対してどうするのか?という研修をするためのボドゲです。「ウツ会議」は、広瀬さんが初めてボドゲをつくるのに試行錯誤しながら、とにかくテストプレイを繰り返して作ったものですが、この「雑談笑」は、遭遇設計が編集者という立場で作家と共同開発するカタチをとっています。

※ Q:が木村まゆインタビュア、広瀬:が遭遇設計の代表広瀬さんの発言です。 Q:以下は、広瀬:がくるまでインタビュアの発言で、広瀬:があってから、次のQ:までが広瀬さんの発言です。

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Q:「雑談笑」ゲームって実際、開発は大学生になるんですか?ひろ瀬さんはどんな感じで関わってるか?

広瀬:ーあの、いわゆる本の出版と同じで。うん。思いとかノーハウを持ってる人を作家さんとしてお迎えして。で、僕らは編集として、ボードゲームに、落とすのを担当するっていう形ですね。だから2人で開発してるとも言うし。ただ一応その作家と編集者というこうで別れて役割分担してやってるんですけど。多分今みたいな話をしないとボードゲームの編集を担当してますとか作家部分を担当してますって言われてもみんなわかんない気もするので。

起点となった違和感や、体験について教えてください 初めて雑談の原案に触れた時どんな感情思考があったかとか、広瀬さんにも、自分ごとになるがあったかとか、あと大学生との出会いと印象とか。

広瀬:なんかその僕らがゲーム作りをするときには、ウツ会議の場合みたいな開発の仕方と、雑談笑みたいな時の開発の仕方があって、作り方が違うっていうのを多分話した方がいい気がしていて。ウツ会議は僕が作家かつ編集者なんですよ。「雑談笑」の場合は作家と編集者が役割分担して、やるっていう。同じか別かってことですよね。なんでそういう開発の違いがあるかって言うと、ウツ会議の作り方は時間がかかるんですね。なんで時間がかかっちゃうかって言うと、作家が思いがあってこんな風にしたいと思って作るんだけど、それがちゃんとした疑似体験になってるかどうかとかってテストたくさんしないと分からないんですね。で、普通のエンタメのボードゲームとかって、作り方のための数式とかあんのかなと思ってたら、ないらしくて。なんかひたすらテストをやるんだよみたいな。本場ドイツのゲームってどうやって作ってんのかなって色々調べたら、作り方の数式とかは、ないみたいな。何百回何千回テストするのじゃみたいな感じになってて。でも、もちろんその作り方のノウハウとか「こうやって俺は作ってんだよ」っていう人たちがほとんどだと思うし、自分なりの作り方あると思うんですけど。必ずこうやれば絶対どんな人でも作れるみたいな数式はない。で、あるとするならばひたすらテストをするなんですよ。実際僕がウツ会議つくった時も多分100回以上はテストをしてるので。その分その時間がかかりますと。で、なんでそんなにそのテストが必要かって言うと、僕が、「こうすれば人はできるの。」だと思ったことって絶対盲点があるんですよ。で、その盲点に気づくのにたくさんテストをするか、編集者みたいな人をつけて編集者にその盲点をついてもらうか。だから1人が両方になってるとテストをするしかないから時間かかるってことですね。

例えば分かりやすく言うと、歩く時多分足上げて歩いてると思うんですけど。私膝を骨折した時膝上げて歩けなかったんですね。どうやって膝あげて木村さんは歩いてるんですか? 膝を上げるっていうのはなんか無意識でできちゃいますよね。できる人は無意識でできちゃうから、膝をあげるって教えてあげなきゃいけないだって思わないんですよ。そういう風に無意識でできちゃうこととか、論理だってると思ってるけど、矛盾がないと思ってるけど、実は矛盾だらけになってるものを指摘してあげないと、ボードゲームとしては作りづらくなってしまいますと。そういうことなので、僕らはその依頼を受けて編集者として、ノウハウとか思いとかをお持ちの方と手を組んで一緒に作るっていうのを基本にしています。こっちの場合は時間が短くて済みます。

ただ、依頼してくる側とかが本当に引き出せるノウハウを持ってるかどうかは分からない。それは、編集者的にこの作家を引っ張り出したら、情報引っ張り出したらゲームになるほどの意味のある情報出てくるかな?っていうのは分からないですと。逆に作家側からすると編集者がちゃんと矛盾をついてくれるかちゃんとゲームにし立てるノーハウがあるかどうかは分からない。 なので、僕ら編集者からすると、あ、ある程度思いがあったり、ノウハウがあったりする人としかやれないっていう感じなんですけど。

じゃあ、なんで石田てるやくんとゲーム作ろうって思ったかっていうのは最初の出会いになります。そういう話の続きになるかな。で、石田てるやくんとどうしてそのゲームを作ろうと思ったかって言うと。とあるイベントであったんですけれども。若い世代とお仕事ができるようになったおじさんおばちゃん世代がコラボできたらいいよねっていうイベントで出会ったんですね。で、なんか学生とか。20十歳そこそこなのに起業して会社を3つやってますとかなんか。休学してこんなことをやってますとか日本全国会ってますみたいな。そんななんかこう強強の大学生しかいない感じの場所で、ま、おじちゃんおばちゃんたちの、ま、おじちゃん側として僕はいたわけですけど。彼がですね、その「今の若い人たちは反抗期を経ていない」と。なので自我の確立が薄いみたいなことをおっしゃったんですね。で、他にもその家族間のコミュニケーションにすごい問題があるみたいなことを思ってる。おっしゃって。で、それをなんとかするにはボードゲームとかカードゲームとかいい気がするんですよねって言ったんです。で、僕はそれを聞いて。驚くし、ま、どっちかつうと悔しい気持ちになるし。彼にそのそれを聞いて僕が言ったのは。「お前さ、俺が20年近くこう仕事をしてうろうろしてやっと気づいたことをなんで社会人にもなってない二十歳そこそこの君が分かってんの」って。俺の20年何だったんだって(笑) 僕は元々自分の地元の東京文教区がリーマンショックの後の再開発で。新しいビルがどんどん立っていくと同時に、代わりに近所付き合いがどんどんなくなるっていう体験をしていて。で、その見た目は綺麗になる町だけど。なんか人の繋がりがなくなると、これ何なんだっていうところから地域活性に興味を持って、ま、最終的には地域活性の会社を立ち上げちゃうんですけど。僕が二十歳そこそこの時にま、まさにその地域で人の繋がりを作るってどうしたらいいんだろうって思って。うん。ま、20年ぐらいうろうろするわけですけども。そこに対して石田てるやさんは、解決策の方向性までもう見い出していたわけですよね。「やべ。こいつなんなんだ」と思って。「こいつにはセンスがあるかもしれない」と思って。なんか「何かできるかどうかわかんないけど1回ゲーム作ってみない」つってお誘いしたっていう感じです。

だから最初はもちろんその友達の自殺未遂の話とか全然聞いてないわけですよ。実際に結果としてお亡くなりになったわけではないので自殺未遂。

Q:「じゃあ1回ゲーム作ってみない」っていうお誘いしたことに対して石田君の反応ってどんな感じだったんですか?

広瀬:「是非やりたいです。」っていう感じで。「じゃあやろうぜ」って言って。基本2週間に1回ずつ会議やって。その編集会議というものをするんですけど。編集会議ではどんなゲームを作りたいとかじゃなくて。どんな体験を作りたいっていうことをこうずっと聞き続けるっていう。で、ま、最終的にはメッセージというものを作ってるんですけど。「誰が誰に対してビフォーアフターでこうなってほしい。」っていうメッセージを作ってもらうんですが。私たちの制作の7割はこの編集会議ですね。どんなゲームにしようとか、こういうカードでこんな風にやりましょうみたいな話とかはそのメッセージができるまで全然作らないって感じですね。

Q:その中で石田君とやったこの編集会議で、なんか思い出深いとか特徴とかありますか?

広瀬:なんか方向性が1回か2回大きく変わっていて。最初は”反抗期をする”っていうゲームだったんですよ。で、その色々掘っていって。てるやさんがやらせたいことは「反抗期は人生に役立つっていうことを分かってほしい」だったんですよ。なので最初に作った時。役になるというか。反抗期役の人のロールプレイをするみたいな。子供の役になるわけじゃないんですけど、今の仕事について、「怒り80」で喋るみたいな。それはそれで面白かったんですよ。ただそれを話す方がいいんですけど、聞く方はどういう風に聞いて対応していいかっていうことに対して、なんかいまいちずっと定まらなかったんですよ。で、これ本当は言いたいことじゃないんじゃないの?ってなって、半年ぐらい経って試作品もできてるのに、「本当はさ、これなんかもうちょい言いたいこととか…なんか、その、家族間のコミュニケーションがうまくいってないとか、統計とかデータとか、そういう、先生の話、あの教授の調査内容、とか教えてきてもらったけど。てるやさんの言いたいことそれじゃないんじゃない?」って言って。「1回おじゃんにしようって言ったら、その友人の自殺未遂の話が出てきたの。」

Q:てるやさんとしてはどんな感じでその話を出した感じがしました?ひろ瀬さん的にはここで出てきたのはなんでかみたいな。どんな雰囲気で出したとか覚えてます?タイミングとか雰囲気とか顔色とか。例えば、話してて、「あ、そうだ。これがあったんだ」的な感じなのか、「実は言えなかったけど…」的な感じなのか、自分を探ってみてた感じなのかとか。

広瀬:ちょっとね覚えてないんですけど。うんとね、ま、多分彼の中で。覚悟が決まったというか。覚悟を決めざるを得なかったというかな。なんか見透かされている思ったんじゃないかな。これはてるやさんに限らないんですけど。何かこういうシリアスボードゲームとか作ろうとする時に、こう正解っぽいことを言いたい人っているんですよ。でもシリアスボードゲームで表現できるものって、僕らは”正解は表現できない”と思っていて。じゃ何を表現してるかって言うと、”作家が言いたい主張したいこと”のみだと思うんですよ。で、それを、なんかこんなエビデンスがありますとか、こんな調査内容がありますみたいなこと言っても、何も心に響かないというか、ま、分かりやすく言うと、例で出しますと、「歩きスマホしちゃいけません」って。多分正解だと思うんですよ。それをゲームにしました。「確かに歩きスマホしちゃいけないね。」で終わる。だから何?みたいな。「人を殺してはいけません」って言って人を殺してはいけないゲームができました。で、だから何?そんなことは知っているんだけど。ってなるだけだと思うんですよね。そこには何の面白さもこう学びもないと思っていて。そうではなくて。確かに論理的に繋がっているし矛盾もない。だけど。一見聞くと繋がっていないように聞こえるようなことがゲームとして面白い内容になる。

Q:それはどんなところから、広瀬さんは感じたっていうか、、最初からしっかり感じられたのか、ずっとなんとなく感じてたのを発見したのか。

広瀬:ま、こういう作り方をしてる中でだんだん分かってきたんですけど。なんか、ちゃんとした思いとかしっかりしたノーハウとかがゲームになって。なんで面白いかは最初よくわかんなかったんですよ、僕らも。でもその途中で”ギャップがあるから面白いらしい”ってことに気づいたんですね。

例えばウツ会議ゲームで言えば、そこでの体験って、「みんなが得意なことをして、わかんねえことはできないわかんないことは他の人を頼れ。」になるんですけど、それってすごく当たり前じゃないですか?すごく当たり前なんですけど、「うつ病の人」って見つけた時に、日本人の多くが思うのは「余計なことを言っちゃいけない」なんですよ。「頑張れって言ったらいけないらしい」ということだけすごくよく分かってんですよ。”余計なことを言ったらやばい人”への対応が、「自分が得意なことをして分かんねえことできねえことは他の人を頼れ」という基本中の基本なんです。

だけど、それを言うと、「あの人うつ病の人かもって言ったらなんか失礼に当たるんじゃないですか?」とか、「その人のことを嫌な風に思っちゃうんじゃないですか」っていう人たちが出てくる。じゃあ、心臓麻痺を起こしてる人に「あの人心臓麻痺じゃないですかっていっちゃだめかも」みたいなこと言って、間に合わなかったらどうするんですかつって。なんでうつ病だけ共有しちゃいけないってなってるんですか?って。なぜ精神病だけなんか行ったら彼の出世に関わるかもしれないから、言ってもいいんだろうか?とかそんなことを考えるんですか?勝手に”特別視”してるからです。これまで勝手に特別視してたものを。特別視視るんではなくて。基本中の基本の初期対応さえできれば全然効果が違うのだって分かるところに、そのこれまでの認識とは違うギャップがあるわけですね。だから面白い。

「雑談笑」のギャップで言えば、「自殺を止める話をしよう」とか「自殺を止める会話をしよう」ってことは”意味ある会話”をしようとか、”意義ある会話”をしよう、とか、”ためになる会話”をしなきゃ、とかになるわけですよ。でも、「雑談笑」は真逆なんですよ。意味ある話、ためになる話、勉強になる話をしたら負けるんです。「意味がなくてためにもならなくてどうでもいい話をすることが自殺を防ぐんだ」って石田てるやさんは言ってるんです。そこがギャップがあってすごく面白い。そのギャップにたどり着くのに彼も最初からそんな綺麗な言葉にはなってないわけですよ。というか半年間ぐらい全然その話題は奥にも出さないわけですよ。

でも、ゲームにしていくと、さっきも申し上げた通り”強固な一貫性”がなくてないといけなくて。矛盾があると矛盾がそのままゲームに現れちゃうので。これなんか「反抗期をやる」っていう感じだとうまくいかないねって。確かにうまくいかないっていうのも彼も感じとったと思います。で、その上で。その自殺未遂した友人の話が出てきてで、その友人に彼は3日間ぐらいこう寄り添ったんだっていう話も聞いて。でも3日も寄り添ったら気が狂いそうになった。(うーん。気が狂いそうになったらちょっとこれ言っちゃいけないかな。その友人が直接聞こえちゃうとちょっと大変だと思うから。自殺未遂3日間ぐらい寄り添ったけど大変だったぐらいですかね。)ただその友人が「くだらない話をするのがすごく助かった」って言っていたという話が出てきた。

こう…なんか意味ある話をしてるわけではなくて、ただ話を聞いているだけとか愛槌打ってるだけなんですよね。」って言ってて、「じゃあそれやろうぜ」って言ったんですね。「くらない話をしたら勝てて、意味ある話ためになる話をしたら負けるっていうゲーム作ろうぜ」って。「で、愛槌を打つのは人間は下手くそだから。もう、アットランダムに引いたカードが槌ロボットで、それが適当に愛槌打ってくれてたらそれでいいんじゃね」って言って今のゲームシステムができたって感じですね。

編集側としては、ま、こんな感じのことをしていて。彼が ”やりたい・させたい体験”って何だっていうのをひたすら聞いていくのと。聞いたものでゲームシステム作るとしたらこんな感じだよって言って出すっていうこと。で、出したら、そのうまくいかないところとか矛盾するところとかが出てきてしまった場合は、それは違うんじゃないのって言う。

結構さ、作家自身の心をだいぶ深掘りする時も多いです。これって作家自身の心を深掘りするとか、ちゃんとこのメッセージを先にとにかくこれを出させるとか、、、ゲームっていうのはこう一貫性と矛盾がそのまま現れてしまうとか。

Q:ここに視点を持っている広瀬さんのバックボーンがある気がするんですよね。なんかゲームがうまくいくかどうかっていうだけではなくて、例えば、人によっては、体験を作るとか、ゲームに一貫性があるかどうかっていうよりは、場がどう空気感になるのか?みたいなこと大事にして人もいれば、ただ学んでもつまらないものをおもしろくするためにゲームというかたちを使うだけの人もいるし、勝ち負けの勝負の公平性に重きを置いている人もいれば、ジレンマや賭け事の心理的な楽しみを追求する人もいるじゃないですか。なのでやっぱ広瀬さんはひろ瀬さんのこの作り方が広瀬さんの価値観やバックボーンを表してる気がしてるんですけど、なんか思い当たりますか?

広瀬:えっと、僕の場合は「うつ会議」が起点なので。”現実をちゃんと反映したゲーム”になってるかどうかをかなり気にしていますと。現実の疑似体験になってるかどうかと。そうだな。ま、「雑談笑」で言えば、最終的な目的はその自殺未遂をした彼の友人と親子が、「あ、あの時このゲームあったら話が色々できて助かったよ」って言えることなんですよ。あの石田てるやさんも、最初はなかなかそこまで思い切ることができなかったんですけど。「その3人以外は喜ばないんだったらそれでもいい。あの時のその友人母親父親だけがこのゲームで”俺たち助かったんだ”って言えるんだったらそれでいい」って。で、逆にその世界の多くの人が喜んでくれてるけど3人が助からないんだったらそんなゲームは作る意味がないって。「あの3人に本当に届くのはどれだ?」って言って作ってますね。その3人の人たちが、意識変用なり、行動変用なりが実際起きるかどうかっていうことにかなり心を砕いっていますね。

Q:これは石田君がというか、その”想い”がある人が「こうなって欲しいから」って言ったから、ここに心を砕いてるのか?

広瀬:作家がやりたかったことを組みたいんですよ。今回石田てるやさんがやりたかったことって いうのは、ま、僕の組み取りだとそうなんですよ。あの時の彼の友人の家族が助かることなんじゃないのって。で、あの時の家族が助からないけど、他の人たちから「テルヤ、いいゲーム作ったねって言われてどう思う?つって。「いや、あんまりどうとも思わないっすね。」「じゃあそんなゲームは作る意味がないね」と。多分書籍の編集の方もそうだと思いますけど。言いたいこと何もかんでも入れたらわけわかんない本になっちゃうわけですよ。言いたいことを削んなきゃいけない。大事なものだけにしなきゃいけない。って言って削れるところは削るって言った時に。「世界中の中であの3人だけにしよう」と。結果多くの人に届くのはここまたちょっと面白いところではありますけど。

Q:そうですね。なんかこれなんか人間心理というかあるんですかね?マーケティングが同じことを言ってますもんね。

広瀬:同じこと言ってますね。そうだから、すごい雑に言うと、”使うシーンをすごい絞ってる”ってことですね。こういう状況の”家族関係が悪くてコミュニケーション不全で、思春期の若い子が死んじゃうくらい辛い時”みたいな。状況を超絞っているっていう感じです。で、その状況の家族でも使えてコミュニケーションがいつもとは違う感じにできる。絶対に。みたいな。

Q:この”絶対に”ってミソですよね。これを確信してなければ”体験させるゲーム”って言わないぞってことですよね。

広瀬:うんと、ま、そこまで僕らもパワーが出せないというか。うんとね、そのちゃんとこう突き詰めて作ったゲームは。うん。うん。僕めちゃめちゃお勧めできるんですよ。で、それはなんでかって言うと、いや、本当に突き詰めてるからで。「ウツ会議」ゲームもそうですけど、ま、研修場面でウツ病のこととか全然わかんない人たちが、どうやって対応したらいいかっていうことが分かると。で、その証拠としては、「うつ病その対応できる人いますか?」っていうことを最初に聞いて、ほとんど全員できないけど、研修の後には「うつの対応できるようになりました」って6割から7割の人たちが答える。それを起こしたいがために作ってるので。起こせないんだったら作りたいものじゃなかったってことですね。

Q:それが起こりせないんだったら作りたいものじゃなかった。っていうのは、編集者の思いではなくて、”作家の本当に作りたいもの”じゃなかったってことって解釈で合ってますか?

広瀬:あってます。だから、石田君の時も1回、「もうおじゃんにしよう」ってなったことですよね。ちょっと編集の立場で言うとっていうのがまた難しいんですけど。一応編集の立場としても行動変用か意識変用はするものを作りたくて。そういうものが作りたい人を作家に選んでるつもりではあります。「あ、なんか、なんか予算が余っちゃった。で、ゲームでも作って欲しいんですけど、なんかいい感じに作れませんかね」って言われたら、ま、こういう編集会議とかはしないで作りますけど。やっぱ思いが乗ってる人と作る方が面白いですよね。

Q:余談ですけど、まさに私たちが今こうやって対談してラジオを創っているのもこの背景みたいな感じですけどね。やっぱり、本当に思いがしっかりしている方のものを形にすると、本当いいものができるんですよね。想いがあるないというより、そこまでみえているかどうか?といった方がいいかもしれません。いいか悪いかではなくて、段階やジャンルとして、しっかりとした想いがない、または見えてない、あえて持たないようにしているというものを作るってすごく難しいんですよ。状況や周囲に合わせての選択だったり、その場の流れを楽しんで流れに乗って動いているような状態って、みえづらいんですよ、一貫性が。ずっと寄り道。ひたすら実験。ひたすら寄り道だから何作っていいかわかんなくてゴールわかんなくてみたいな。

広瀬:そうっすね。多くのゲーム開発のやり方はそれが多いと思いますね。何をゴールにするかを決めないまま作っている。僕らは”何をゴールにするか”を作るのに7割時間をかけているというか、編集会議をしているて感じ。人間「何かをやりたい」とか言いますけど。そのやりたいってことがきっちり矛盾なく整理生頓されていたら、もうできてるはずなんですよ。やりたいことが。俺たちのとこに相談なんか来ない。でも”できない”ってことは分かってないはずなんですよ、その作家さん自身が。

Q:これゲームだけじゃない。広い話ですね。本もそうだし、ビジネスもそうだし、なんかありとあらゆるものがここですね。

広瀬:そうです。そうです。そうです。みんな僕も含めて分かってないです。

Q:私も普段は、会議をしたりコンサル・コーチをするときなどには、今広瀬さんがおっしゃってくれたようなこと、”本当に心から望んでいる、本人もわかってない何か”と、”それを叶えることを邪魔している何か”を引き出すためのマインドマップを書くんです。ちゃんとその引き出していくステップを持って書いてくんですよね。大体の人が思考と感情が全然遺憾性なくてまとまってなくて、「世の中的によさげなこと」「過去の亡霊」に縛られてる。だから最初その人が出してきた”問い=解決したい何か”は絶対違うんだみたいなこと。で、そのノウハウを教えてくれた東大卒のチームリーダーが、やっぱり同じこと言って、「適切な”問い”が分かってれば全員億万長者になってるよね」って言ってました。そもそもみんな自分の本当の”問い”が分かってないから本当の”問い”を出すまでがまず第1ステップで、解決したいその”問い”がどこにつがって、どう自分が幸せなのかってことが分かったらみたいな。あとはもう今の行動をどう変えるかってことになる。本当の望みのその先、そこまでつながってやっと、じゃあどうやってそこに…って問題にいけるんですよね。でもそこが繋がってないのに人間が行動を変えるなんてそんな難しいことなかなかエネルギー出ないです。だからその一貫性が大事だみたいな話をしてました。

広瀬:かなりかぶってるところ多いと思いますね。

Q:広瀬さんは、言えばこのたまたま選んだツールがボドゲだと思うんですけど、この一貫性っていうところとかってすごい大事にされてるじゃないですか。どうして一貫性を大事にされてるかって、その体験を確実にしてもらうっていうことと、作家さんの思いを組みたいっていうとこの二軸なのかなっていう風に思ったんですけど、その作家さんによっては…その相手に行動変用をしてもらいたい、意識変用をしてもらいたいではない思いの方もいらっしゃるのかなと思います。本当にただ単にうちの会社のPRゲームを作りたい。社長に言われたから作りたいって言う人もいるんで。

広瀬:それはそれでえっとなんだろう。編集会議とかないやり方でゲームを作るみたいなことをしたりしますけど。私の、なんて言うかな?私たちのやってることが受ける人って、今まですごいいろんなことやっている人が多いんですよ。例えば今、目標管理のボードゲーム作ってますけど。それを一緒に作っている人事コンサルタントの人が、人事の肝は目標管理だっていうことが分かっていて。それを伝えるために本にして、ワークシートも作って。「みんなこの本を読んでこのワークシートやればリクルートみたいに個人と組織が共に勝つ!っていう素晴らしい組織ができる。やった~!」って思ったらしいんですが、思ったより売れなかったり、なんなら買った人さえも読んでいなかったり。読んだ人もワークシートを書いていないみたいな。「ここまで本にしたし頑張ってワークシートまで作って、、どうしたらいいんだ!?」みたいな。伝えたいけどどうしたらいいかわからない。困った!!みたいな人に、僕らの話がめっちゃ刺さる。

Q:まさにこのラジオの名前そのものですね。なるほど。あ、なんか見えてきましたね。よかった。ああ、なんかすごいすっきりました。なるほど。こうやって、こうやって、こう繋がってるんだみたいな。ちょっと雑談からはそれたんですけど、なんか広瀬さんの1番大事なところな気がして深掘りしてみました。

広瀬:そうですね。僕らが作家と編集者と別れて作るっていうのは、ま、こういう感じですね。「雑談笑」のその根幹的な思いはてるやさんのものなので。僕は編集的に、彼はこういうことを伝えたかったんだっていうことで。「自殺を防ぐようなコミュニケーションっていうのは、実は、くだらない、どうでもいい、ためにならない話をできてるかどうかが大事だよね。」で、それを起こすためには?ってあのゲーム形式でやった。で、それを、僕らお手伝いしたっていう形ですけど。

実際僕もこの「雑談笑」ゲームをよく使うんですけど、先日、ラジオで30代、40代、50代、90代がいるみたいな中でゲームしたらもう超爆笑するみたいな感じになって。止まらない。世代バラバラで「90のおじいちゃんと何喋ろう?」っていう感じになるじゃないですか。その若い人と話そうとしても「いいや何話せばいいんだろう」ってなる人も多いと思うんですけど。このゲームは超楽に話せるっていう。

Q:「何話そう?」と思うっていうことが、何か価値のあること、何か役立つこと、人が楽しいこと、何かがあるものを話さなければいけない。と思ったところで、コミュニケーションが難しくなるってことですよね。

広瀬:そうですね。やってみて分かったのは。結構僕らTPOに応じて話すように無意識で超訓練されてる。今ラジオだからなんかこんな話しちゃいけないなとか、ビジネスシーンで「最近おならが止まらなくてですね」とか別にどうでもいい話しねえよなとか。結構訓練されていて。話したい話を話すようには作られていない。訓練されていない。でもどんなにくだらない話でも、どんなに意味のない話でも、「してもいいですよ」っていう風になっている場では。自分の言いたいことはいくらでも言えますよね。

Q:逆TPOなんですね。

広瀬:そう。逆TPO。で、逆TPOだと普通はそのなんて言うかな、そのまま負けるマイナス点を取っちゃうようなそのいい話とか共感する話とかためになっちゃう話とかをしたら点数が下がるから、なんか負けに近づくんでみんな嫌がるはずなんですけど。周りの人がみんないいって言ってるってことは褒められてるとも言えるのでん、これ点数はないけど、悲しむべきなの?なんか喜ぶべきなの?よくわからないみたいな感じになるんですよ。だから、ゲームでプラス点取れたらゲームの勝ちに向かってて、それはそれで嬉しいんですけど、マイナス点をもらったとしてもそれはみんながあなたの話に共感したり喜んだりためになるって言ってることだからそれはそれで嬉しいんですよ。だからどっち転んでもいいんですよ。いい話じゃんってみんなからもらってマイナス5点になっても別に嬉しい。

Q:これを作れた時の広瀬さんの思いとか感情ってどんなものだった?

広瀬:てるやさんの友人は「くだらない話とかしてる時が彼が1番助かった」って言ってたんですよ。じゃあそれをゲームにしようって言った時の、そのてるやさんの、その言葉を聞いた時に、もうめちゃめちゃ面白くなるって思ってましたね。普通と逆だから。普通と違う話が出てきたんで、それゲームにしたら絶対面白いと思いました。

Q:ここが”ギャップ”だぞっていう広瀬さんの勘に引っかかったってことですね。

広瀬:そうですね。僕は産業カウンセラー持ってますけど。カウンセラーの人たちは、「私死にたいんです」っていう自殺の相談をされた時が1番真剣になるし。1番腕の見せどでもあるし、1番責任がかかるところなわけですよ。そん時に少しでもその自殺したいっていう気持ちを柔らげたり先延ばしたり生きようと思ってもらえるかどうか、そういう話ができるかどうかっていうのが。めちゃめちゃ問われるわけですけど。「くだらない話をしましょう。意味ない話をしましょうと。ためにならない話をしましょう」と。真逆じゃないですか?絶対産業カウンセラーがやっちゃいけないことですよ。だから超素晴らしいと思いました。みんな超真剣に聞こうとしますよ。、または、超無関係というか、おちゃらける方に持っていくか、どっちかですよ。真剣に聞くかもう全然き聞いた聞かなかったふりをするかどっちかっていう感じですけど。

っていう訓練があったからこそ気づいたものも あるってことですか?

広瀬:でもうんとね、それ以上に。編集者として「普通の人が言わないことだな」と思っています。

Q:広瀬さんのメタ視点ってすごいですよね。

広瀬:聞いたことないなくないですか?自殺未遂をおかした人に対して「くだらない話をひたすらしましょう」みたいな話って。下手すると不謹慎で燃えますよ。炎上しますよ。

Q:やっぱひろさんはメタ視点がすごい高いというか視点がなんだろう。やっぱりご自身の体験に囚われずというか、そこの枠、自分の思いみたいなところに入り込まず常に何かこう一般の視点と行き来している気がします。だから作れるんじゃないかなみたいな。

広瀬:編集者としてはそういう意味ではフラットにと思ってます。でも、作家やってる時は全然そんなこと考えてないっすね。作家やってる時は「これが正しい!」と思ってやってます。穴があるかもしれないし、足りないところがあるかもしれないけど、「どう考えてもこれが正しい」と思いながら作ってます。で、一緒にやいる石神さんという編集者に「いや、ここが違う、これおかしい。」っていっぱい言われて。「確かに」とか思いながら、また練り直すっていう感じなんですけど。

Q:その時は盲点以外の、”ひろ瀬さん自身の言いたいこと”掘りみたいなのはどうやってやってるんですか?

広瀬:僕は作家やってる時ってことですか?いや、ひたすらそのメッセージを作ったりとか。試作品作ってる中で自分で気づくみたいな感じですかね。

Q:すごいですね。やっぱすごいですね。

広瀬:ま、でも指摘がないとそもそもそこに戻れないので。指摘をしてくれる石神さんもすごいんですけど。彼は本当に寄り添わないタイプの編集者なので。もうなんか気が狂いそうになります。彼に編集してもらう時は(笑) いくつかお蔵入りにしたテーマとかもありますもん。

Q:そうですよね。これめっちゃ思うんですけど、私がするセッションの価値も、矛盾点をいかにつくかっていうところなんですよ。基本、人は矛盾だらけじゃないですか?広瀬さんがおっしゃったように、その矛盾があるからやりたいことがストレートに行ってないからできてない。ってことだから、その矛盾をつかないとどうにもならない。ゲームも人生も。でもそういう風に矛盾を突かれるのって普通人は嫌がるじゃないですか。広瀬さんはその辺りをどんな風にされてるんですか?

広瀬:ゲームのせいにします。「それだとゲームにならないんです」って言います。別に、あなたの言ってることが、例えば、家族間コミュニケーションの専門家みたいな教授の人と作ってたとして。それに対して僕らはその知識がないが、ボードゲーム化するという視点では「今のお話ではボードゲームのくいつかのパーツが足りないんです」とね。

Q:プラスならゲームに勝てるマイナスでもなんか嬉しいってこととか、ま、世代間ギャップがめちゃくちゃあっても全然大爆笑だったよみたいなこと以外に、この雑談をやってみての何かフィードバックとか感想とかありますか?

広瀬:なんか初対面同士でもすぐ仲良くなれましたとか。今まで誰にも話したことがないこと話しちゃいましたとか。こんな感想があったかな。

Q:今まで誰にでも誰にも話したことない話せたっていうのはなんでだと思いますか?

広瀬:自分が人にする話じゃないと思ってるからでしょうね。他人に意味ある話じゃない。他人に価値のある話じゃない。だから初対面同士もすぐに仲良くなれた。

それはわたしたちも、この間プレイさせてもらったときにみんな感じてましたね、やっぱり人って嬉しいんでしょうか?話したことないことが話せるとか。

広瀬:嬉しいんじゃないかな。無理やり話せって言われて話してたら嫌でしょうけど。話してもいいんだってなって話してるので。嬉しいんだと思います。嬉しいっていういうか何でしょうね。心が動いてるんですけど、その感極まるというか、感動してるというか。

Q:先日、他のコミュニケーションボドゲを体験してきたんですが、そこでは同じような視点で、別のアプローチをしてました。話をするときに、話す人は、嘘か?本当か?どっちかを話して、それ以外の人は「それ嘘だ!本当だ!」っていうのをみんなで当てていくっていうゲームだったんです。そうなるとまた人は喋れちゃうみたいですね。だから本当にそのなんか、広瀬さんが見つけた”TPOに従って喋るように訓練されている”っていうのは大きいんですね。喋っちゃいけないって。

自殺する方って、自分を多分責めがちだったりってことなんだと思うんですけど。ウツもそうかもんなですが、基本めちゃくちゃ真面目じゃないですか?

広瀬:真面目っていうか。自己肯定感とかが低かったりする場合が多いですね。

Q:なんで自己肯定感低くなるのか?っていうのにも関係してるかもしれないんですが、、うちのチームにいる松井さんって、話のTPO力とか0だなと思うんですよ。一緒にいて胃がいたくなるぐらい「TPOってこの人にあるんだろうか」って思うわけですよ。そうするとやっぱ彼は、ウツとか絶対ならないし自殺とかこの人には人生無縁で辞書にはないだろうって。かと言って彼が落ち込まないわけじゃないし、真面目じゃないわけじゃないし、一生懸命じゃないわけじゃないんですけど、でも、もうTPOを読まないっていうことに対してはすっごいたけてると思うんですよ。だからすごい異常に納得しました(笑)

Q:表面的によく聞くのは、「あの子が自殺するなんて思わなかった。」「もっと何で分かってやれなかったんだろう」みたいなのを近くの人から聞くことってやっぱ多くて。やってみて分かったことっていうところで、いろんなフィードバックがあったと思うんですけど、実際に石田さんが作りたかった、自殺したいとまで思っている人だったりとか、腫れ物に触れるようにしてしまうような状況の人だったりとか、そういう人とのコミュニケーションに役立ったとか、そういうメンタル不調者に対しての効果っていうのはあったんでしょうか?

広瀬:やれて云々んっていう話は今ないんですけど。てるやさんは、元々発端となった友人のところには行ってゲームは見せているので。そこは喜んでもらえたとは聞いていますけどね。詳細は聞いてないですけど。テルアさんの満足感としては感じた感じですかね。実はてるやさんこのラジオに出てくれるらしいんです。この辺の話は、もしできるんだったらその時にしてもらったらっていう感じですよね。

Q:開発中の大きな壁としては、石田君の思いが、やっぱり最初からは引き出せなかったっていうところぐらいですか?

広瀬:そうですね。そこはなんか基本的に時間かかるものだと思っているので。壁っちゃなんですけど。最初からそんなもんだと思っているのはありますね。

Q:「雑談笑」やった人っていうよりはそういうメンタルヘルス関係の業界に接している人とかからの声っていうのはありましたか?

広瀬:キャンプファイアー(クラファン)の方には推薦者の言葉の中に入ってたと思いますけど。居場所作ってるみたいな人のNPOの事務局長さんから、「これ10代の居場所に欲しいものだぜ」とか、公認心理士の教授の方から応援コメントはもらっていますね。

Q:広瀬さんの、この「雑談笑」全体を通しての感想みたいなのはありますか?作ってみて、みたいな。

広瀬:そうですね、やっぱりてるやさんすごい人だったなっていうのと。めっちゃいいゲームだな、これっていう。僕雑談苦手なんですよ。なんか意味ある話とか仕事の話とか共通目的の話はしやすいんですけど。なんかこう妻と雑談するとか。妻側がギブアップするみたいな。「え、その話はさ、結局どんな意味があんの?誰が誰に対して何したの?SVOちゃんと言ってみたいな。全然よくわかんないんだけど」とか言いがちで。

Q:ちょっと私も買った方が良さそうです(笑)

広瀬:「雑談笑」だともう本当にどうでもいい話ができるので。

Q:広瀬さんが想定する、石田君でもいいんですけど、想定している、こういう人使って欲しいみたい、こういう場で使って欲しいみたいなものは、キャンプファイヤに書いてるまですか?

広瀬:僕は僕で多分てるやさんとはちょっと違う視点があって。これ普通に、会社とかで、コミュニケーションなんとかしたいなっていう人たちは使ってほしいな。うちのチームの雰囲気なんとかしたいなみたいな人にはめっちゃいいと思ってますね。会社でも活でも趣味でもいいんですけど。なんか下手な飲み会えやるより全然これやった方がいい。

Q:「ウツ会議」のサブセットとしてあってもいいぐらいですよね。

広瀬:ああ、そうですね。めちゃめちゃ心理的安全性高くなりますよ。